狂言を見る
早稲田大学が主催している「早稲田狂言の夕べ」というイベントに当たったので、授業後に行った。着物を着ている人もちらほら居て目を引く。大隈講堂は毎朝見ているけど、実は中に入ったのはこれが初めてである。
少し前にワキ形能楽師であり著作も色々出されている安田登さんの本にハマっていたこともあって、能や狂言には思想面から関心があった。たまたまポスターで目にしたこのイベントをいい機会にと初めて狂言を観る。こういう機会に恵まれていることが早大生で良かったなと思う点である。
ちゃんとした舞台も初めて見た。予備知識がないため詳しいことはよくわからないけど、生で見る野村萬斎さんは普通に話す声さえふくよかな渋さがあって、遠くから見る立ち姿からしてもすごく素敵だった。
演目は「蝸牛」と「千切木」
いずれも綺麗にオチがつくようなものではないのだけれど、近頃あまり見られない良い意味での能天気さみたいな、ゆるさやおかしさがあってホッコリした。整いだった綺麗さよりも、愉快さや面白みの余韻を楽しみながら続くでもなく終わるでもなく舞台袖に帰っていくのがよかった。なかでも特に「蝸牛」の「でざかまうちわろう〜」「でんでんむしむし」という囃子がずっと楽しい。思わずニヤッとしてしまう。お話の内容も勘違いとか、ドリフのコントみたいなこれ以上やったらくどい!手前の被せネタがベースにあって、日本人の笑いのツボというのは昔から大差ないのだなと思う。「千切木」に登場した絶望的に空気読めないけどどこか憎めない主人公、誘われてないのに同窓会来て散々好き勝手して周りから顰蹙かいながらも悪い人ではないことはわかるから無下にもしにくい、みたいな感じで、こういう人今の世の中にもいるなあ。
能や狂言は調べたら結構色々なところでやっていて、お手ごろな料金で観ることができるみたい。いい夜だったな。